これは妻の頭に乗っている金太郎である。じっと乗っている間はいいのだが、ときどきでんぐり返ってしまうのだ。そのときは痛い。バラのとげのような足と口ばしが刺さるような感触だ。本人は至って悪気はない。

 今日は午後から来客があった。U七段と編集者の人で、将棋教室などについての取材である。3時間あまりだった。話している間にむしろ自分の考えが明快になってきた。

 金太郎はその間、貝になっていた。

 客人がいなくなって、金太郎を出すと遊び始めた。人見知りするわりに、最近は荒いときもある。私の頭に〇〇〇を平気でするし、叱ると逆に機嫌が悪くなる。パソコンのキーボードを常にねらっている(金太郎がいるときはキーボードを覆っている)ので。油断すると危ない。キーをつついて外すのだ。

 夕食を済ませて、妻が風邪気味でHIRO行きは中止にする。私もややバテ気味である。明日は特訓教室で、あさっては震災15年で、弟子の故船越隆文君の住んでいたアパートの跡地でみんなでお参りをして、それから一門新年会と一門研究会がある。

 毎年この時期は体調を崩してしまうことが多い。気持ちの流れが鬱の状態になりやすいのだ。

 船越君のことを知らない弟子が増えてきて、やはり知っていてほしい、忘れないでいてほしい、心に刻んでいてほしい、風化されないように・・そんな気持ちがますます強い。

 私が弟子に対する思いの源泉は震災で亡くなった船越君の存在が大きい。

 震災直後はもう二度と弟子は取らないと思った・・でも時間が経ってその逆の行動を選んだのは、弟子を取ってきちんと育てることがむしろ船越君の意志を大切にすることだ・・そう思ったのだ。現実は思うようにはいかないことだらけだが、自分が元気な間は師匠としての仕事を全うしたい。

 言葉だけでは無力さと虚しいものもあるが、弟子にはみんな奮起してほしい気持ちが強いのだ・・