綾部市、仏教講演会「将棋 勝負を超えてー多くの弟子を抱えてー」の演題だった。講師、森信雄六段。

 昨日は「第10回綾部市仏教講演会」で講演をする。もちろん講演は生まれて初めてで、数日前からようやく気になり始めたが、あっという間に当日を向かえてしまった。

 午前中に95さん宅にお邪魔をして、一息つく。それから出口三平さんも交えて四人で「喫茶とギャラリーぐう」で昼食を取る。和風の静かで落ち着いた雰囲気の店だった。食事の途中で大雨になったが、すぐに止む。晴れたり降ったりで、今日の天気は不安定だ。

 そこから中丹文化会館に向かう。黒川禅師と今日の司会をしていただく浄泉寺のご住職さんが出迎えてくれて、控え室に案内される。住職さんは「昔、神戸にいた頃、藤内金吾先生のところで将棋の指導を受けたことがあるんですよ。内藤九段が中学生でしたね」と話をされた。今は囲碁六段の実力者だそうである。会場で糸谷四段が新人王になった記事が配布されていて、気配りが伝わってきて、恐縮する。

 講演が始まり、開会の後の挨拶で、黒川禅師が私の紹介で、絶妙のフォローをしていただいた。そのまま講演をお願いしたいくらいだった。

 講演が始まり、客席のライトが消えて、うっすらと人の表情が見えたが、今日は将棋を知らない人がほとんどなので、出だしが難しかった。弟子の話に入る前に、自己紹介を兼ねて棋士の話をする。

 「聖の青春」に移り、村山聖との出会いから、29歳で亡くなるまでを話しながら、当時のことが記憶に蘇って来る。時間を経て気が付くことや、自分の心情の移ろい、今も尚不可解なことなど、村山聖のことは私には過去であって過去ではないことでもある。

 弟子のことを話しながら、何故弟子を取るのかについては、自分ですらわかってない面がある。ただ言えるのは、強くて魅力のある棋士に育ってほしい、強さのレベルでなくてひたむきに将棋に向き合う弟子にはエネルギーを注ぎたい、そんなことを話したかったのだが、五里霧中だったので、しどろもどろになってしまったようだ。

 途中で腕時計を見る余裕がなかったので焦ってしまったが、間際で見ると3分前で、ほっとする。講演は1時間半であっという間に終わった。船越君のこと、村山聖の書いた文章を読もうと思っていたが、うまくまとめられなかった。

 黒川禅師から講演の依頼があったとき「私は雑談は得意でも、講演はヘタだと思います」と言ったとき「話のうまい人はいっぱいいますから、それでお願いするわけではありません」きっぱりとおしゃっていただいた。その通りになってしまったが、ともかく終えて一息ついた。

 控え室に、以前お伺いした楞厳寺(通称カラス寺)の和尚さんも来られて挨拶する。綾部仏教会、関係者の皆様、いろいろとお世話になりありがとうございました。

 打ち上げまでの時間に、大槻さんが加わり5人で私市丸山古墳に行くことになった。いつも高速から見えていて、気になっていた場所だ。ちょうど夕暮れ時に差し掛かり、綾部市街と山々の眺望は抜群だった。

 打ち上げは黒川禅師にごちそうになった。上林の地元産マツタケ料理で、店の人も「今年初めてお出しします」贅沢な味と香りだった。食事しながら歓談していると、時間が経つのは早い。最後に記念写真を撮った。

 終わって95さん宅に戻り、一息ついてから、帰りたくないなあと思いつつ、トビオ、クロ、源さんが待っている我が家に帰宅する。車の中で妻とあれこれ反省を交えて話しながら、今日は本当にいい体験をさせてもらった、それで意見が一致した。