撮影 ルンルン

 今日は「春休み特訓コース」の日で、朝から指導対局ばかりだった。千田1級、阪上2級、来海4級と私が講師で、13名(定員12名)の子どもを特訓するシステムだ。5分切れ30秒(有段者は10分切れ30秒)なので、直感のみが頼みになる将棋である。将棋は第一感で浮かぶ手が、案外実力のバロメーターであり、ほとんどの場合考えてもいい手が浮かぶわけではない。

 考えるには素地が必要で、基礎の間は、習うより慣れろである。駒をいじるのが大切で(今はネット将棋しか知らない人もいて、家に盤駒がないケースも多いらしい)手の感触が大きい。何でもそうだが、頭でっかちは冴えないのだ。私はほとんどのことで体験論者で、自分が身を持って(痛い目に合わないと)経験しないと信用しない。噂の噂、噂が噂を呼ぶ類のものは、かなり疑問府をつける。

先日の奨励会で昇級した千田1級の指導対局

 子ども教室の子でも、将棋を指す時間が少ないので、痛い目に合って覚える体験がなさすぎる。頭の中のひとつの失敗よりも、99の手痛い負けがいいのだ。負ける数ほど幸せになる?(そんなことはないか)将棋はかなり体験モノで、初級者なら定跡を覚えるの前に、100局くらい対局をこなすのが必要だ。その中でレベルが低くとも「確実に身についたもの」が大きな武器となる。裏を返せば、頭で理解するのと、体で感じるのとは違うのだ。

 午後からも「特訓コース」で人数は少なかったが、指導する側も子どもたちもヘトヘトである。当たらないパンチを繰り出す15ランウンドの戦いみたいなものだ。但しこうなると生徒でなく講師がめっきり強いのは当たり前なのだ。今日一日で40~50局は指しただろうか。講師陣は全く疲れない。

 夕食の後でHIROに行った。うどんでは物足りなかったので「トースト」を注文した。昨日U七段に「森先生のところはよく外食しますね」呆れたような?表情で聞かれたが「妻がずっと風邪気味なので・・」と答えつつ、(家だと納豆ごはんが多いからなあ?)やはり家で食べていた方が、体にははるかに健全であるのだ。実際に私は本当は弁当が苦手で・・そりゃそうだ。独り住まいで20年間ぐらい弁当を食べ続けてきたのだから。外食ばかりのときは、日々店をローテーションで変えていたが、それでもゲンナリだった。いくらおいしくても続くと無理がある。家で自炊するとまずい味噌汁と野菜炒め(カレーとシチューとオデンも作ったが)しかない暮らしだった。

 当時は酸性体質で、対局のときも夕方までは体もだるくて頭がボンヤリしていた。今は頭はボンヤリしていないが、気力と棋力と根性がなくなった・・

 特訓教室が終わり、3月もあと二日である。明日は一門研究会と、父兄懇親会がある。週末は遊びにも行けず何となくもの足りないが、もう少しで花見の季節になるのだなあ。ちょぴりさみしい春である・・