鍵騒動

 今日は原稿の仕事を何とか仕上げる。詰め将棋や次の一手を作るのは一切苦にならないが、原稿を書いたりするのが苦手なのである。そして家で仕事をしていると、時間の感覚が薄らいでしまう。

　写真もそうだが、あれもこれもと考えるとキリがない。エエイと思い切って切り捨てるのが、写真のひとつの精神である。自分の暮らしや生き様でもそういうものかもしれない。あきらめの境地に近いし、執念深いものにも近いが、なるようになれという居直り、開き直りの心情だろうか。激しさと諦めと、その間で揺らいで、中途半端な状況になってしまうことが多い・・冴えないのだが、ただ白黒の決着はたいてい、やさしさを伴わない理屈オンリーの方向になりがちのようにも思う。

　夕方、義母から電話があって、家の門の鍵が壊れて、外に出られないので来てほしいとＳＯＳがあった。早速駆けつけたが、鍵はびくともしないので、入れない出られない状況である・・ふと思いついて「鍵１１０番」の電話を妻に調べてもらう。すぐに電話したら２０分で行きますとのことだった。

　鍵屋さんが来て、あれこれいじって、先ずは鍵穴を開けて開いた。その後で鍵を付け替えてもらうが、古くて錆びているのと大きさが合わないらしくて、いろんな道具使ってようやく出来た。「普通の人では直せませんよ」説明してもらいながら、さすがにプロだなあと感心するのだった。最近はこういった専門職のすごさに興味を抱く。私はどの分野でもプロが好きである。

　やれやれと、夕食はバーミヤンに行く。外食産業はどこも苦戦で、何となくそういうときほど外食に行こう、これは言い訳？だが、それでも厳しさは膚で感じる。今はどこも余裕はないが、かと言ってよその世界に移るわけにもいかないのである。世界的な不況なのに、どうすればいいのかのヒントがなくて、先が見えない話ばかりが多いのもつらいものがある。

　自分の足元を固めるのが大切だが、かすかでも確かなものを守りたい・・大きな話はもういいから、小さなことや弱いものを大切にする社会がいい・・そんな気がする。