木津川市に行く

 

今日は京都府木津川市に車で行った。こちら方面は久し振りだった。

　私の師匠の故南口繁一九段のお墓参りの下見だった。今までも何度か訪ねたかったのだがそのたびに奥様から「森さん、気持ちだけでいいからね」と言われてきたのだった・・

　今回は南口一門でのお墓参りの予定なので、ご子息に教えていただいた地図を頼りに下見に来たのだった。

　木津には毎年将棋大会の審判で来ていた。師匠の昔を知っている老人の方にもお会いした。

　師匠は亡くなってから１４年経つが、その前の１０年間も寝たきりだった。脳梗塞で倒れたのは、京都の将棋大会の朝の挨拶のときだった。そのとき私も新四段で副審判だったので、そばの椅子に座っていたときだったので忘れることはない・・

　病院生活のときに何度かお見舞いに行ったのだが、いつも帰るときに手を力強くにぎられて、涙を流されていた。しっかり頼むぞ、私にはそう伝わってきた。何年か経つとお客さんのお見舞いも減ってきて、「森さん、年数が経ったらさみしいもんやねえ」おしゃべり好きな奥様とよく話をした。

　私は奨励会のときを含めて三度、将棋をやめようと意を決して、師匠の家を訪ねたことがある。

　多分あまりしゃべらないが、泣き顔の私を見て察知したのだろう。そのつど励まされて、もう少しだけがんばってみようと思ったのだった。今は訪ねる先もないが・・私にとっては、師匠に救われた思い出しかない。

　一度も叱られたことはなくて（それは師匠が晩年だったせいもあるだろう）後で兄弟子の話を聞いて驚いたことがある。きつかった面もあったそうである。

　自分は今、弟子をいっぱい抱えているが、師匠からの何かがそうさせているような気もしている。逆に今後、私の弟子に何かが伝わるのかどうか、それはわからないが、将棋を通じての何かを大切にしてほしいと願っている。

　もう一度駅からお墓まで２０分くらいだが、歩いてみた。

　次第に真夏日になって、バテてくる。妻と一緒にお墓にお花を供えた。

「一度、南口先生にお会いしたかったなあ・・」師匠は私が結婚するのは驚きの出来事だっただろうなあ・・こんなに弟子が多くなったのも驚かれるだろうなあ。

　お墓の周りの田園風景がよかった・・

 

コメント 4

南口先生との話には感動しました。天国の師匠も、今の森先生と弟子達との交流については喜んでいるんじゃないでしょうか。合掌。
by coldman (2009-06-13 03:19) 

良いお話でした、
小生、還暦を過ぎて人生を振り返ることが多くなってきた今日この頃ですが
いつも先生のブログを拝見していて、羨ましく思うのが、
師匠に仕えたことも無ければ、弟子を持ったことも無いことです、
やはり、”先人より学び後人に託す”の輪廻をしてこそ「人」人生なのでは？
と思います、長年の勤め人稼業では、何故かこの精神が欠如していたと
反省するしだいです、

改めて、いい話ありがとうございました。
by 団塊おやじ (2009-06-13 11:21) 

団塊おやじ様
　師匠から弟子への橋渡しみたいなことが、とっても大事なような気がします。と思っているのですが、弟子がどう思っているのか、はなはだ疑問ですが・・ぬかにクギかもしれませんが、きっと師匠も同じ様な思いだったのでしょうね。
by モリノブ (2009-06-26 00:12) 

coldman様
　師匠はどう思っているのか・・少しでも喜んでもらえたらと思います。まだまだいろいろと続きますが、できうるかぎり師匠の仕事を果たしたいですね。
by モリノブ (2009-06-26 00:15)